2016.5.9

 貿易統計速報によると、3月に日本に入着したLNGは平均でMMBTU当り7.25米ドルと昨年同月の12.3ドルを41パ-セント下回った。昨年9月の9.66ドル以来下がり続けている。
 価格の分布では3月には初めて4ドル台のカ-ゴ(ロシア)が現れたほか、5ドル台のカ-ゴが4件(今年1月には3件、2月1件)と多くなり、そのうち3件がロシア産、1件がナイジェリア産と、ロシアの安値が際立っている。
 6ドル台のカ-ゴも27件見られ、1月の5件、2月の12件から急増している。それに対応して、7ドル台、8ドル台、9ドル台のカ-ゴは1月水準から半減している。
 低価格のカ-ゴは上下の変動はあるが昨年9月以来継続的に下がり続けている。一方、高値カ-ゴは2月を底に上昇に転じている。全体的には下がり基調となっている。
 アジア太平洋のLNG価格に影響する日本揚げの原油価格は3月 平均はバレル当たり31.98米ドルとなり、2月の30.36ドルを上回った。原油価格反転の兆しであれば、LNG価格も3~4か月後上昇に向かう可能性がある。
 アメリカの非在来型のLNGが中東産原油よりも競争力をもてば、その影響がヨ-ロッパガス市場に波及し、さらにところてん式にロシアのガスがアジア市場へ押し出されてくる可能性が懸念される。3月の価格現象は、短期的な需給緩和のため、供給側にはけ口を求める動きの結果にとどまるかも知れないが、非在来型LNGの攻勢によっては、構造的な変化の予兆と 捉えられなくもない。原油需給と価格、ガス需要の増加の絡み合いについて短期と長期のトレンドに注目しなくてはならない。
Fig Oil vs LNG mar 2016-1