2016.3.2

  2011年3月11日の東日本大震災から5年を迎え、日本には反省できていないことがまだ多くありそうだ。5年たった今だからこそ問題をしっかり振り返り、将来の教訓にし、また、同様の震災の起きそうな諸外国に対して、それを共有してもらうことにより、新しい国際協力の道を拓いていってはどうか。
 本日、NTTグル-プが石油連盟と締結した「災害時の重要施設に係る情報共有に関する覚書」はそのヒントを与えてくれている。
 NTTグル-プでは、大規模停電によって通信ビルへの電気供給が停止した際、通信サ-ビスを継続させるためバックアップ用電源設備を設置している。バックアップは3段階あって、第1段階は蓄電池、第2段階は非常用発電機、そして第3段階は移動電源車である。問題は、それら施設(特に第2段階と第3段階)を動かす燃料となる石油貯蔵タンクの注入口とタンクロ-リ-側ホ-スの先端の緊結金具の型式が合致しなかったという問題があったため、石油供給会社と重要施設に関する情報共有を行っていくことにした。
 この問題はNTTグル-プだけの問題ではなかったのではないだろうか。バックアップ電源それ自体は大規模商業ビルや病院含めて導入が一般的であるが、通常とは異なるロ-リ-から燃料を調達したら期待通り注入口とホ-スが合致しなかったということでは意味がない。地震の多い海外ではどうなっているのであろうか。
 NTTグル-プは何段階ものバックアップ対応の努力をしているということであるが、海外ではどのように対処されているのであろうか。 
 電源の多様化など、マクロ的なエネルギ-安全保障はもとより重要であるが、上に見たようなミクロな対応も見落とされてはならない。
 これは、福島第一原子力発電所のバックアップ電源が津波による水没のため機能せず、遠路輸送してきたバックアップ電源を第一発電所の配電盤につなごうとしたがケ-ブルが合わず、結局、原子炉の冷却ができなかったという事故を想起させる。マクロの対策が整ったとしても、ミクロが伴わなければ意味がないという大きな教訓と見るべきである。